挑戦者たちの「決断の物語」がここにある
「日本の繁栄の陰には、無名の日本人たちの血と涙のドラマがあった」
これはNHKで人気だった『プロジェクトX』のキャッチコピーですが、本書に綴られた11篇もまた時代を動かさんとする挑戦者たちのドラマです。
ナラティブ(narrative)とは物語、叙述すること、語り口のこと。商品やサービス、企業が生まれた背景には必ずナラティブがあり、突き抜けた結果を得ようとすれば、抜き差しならない切実さが否応なくそこにつきまといます。
切実さはやがて縁や感謝、つながりや思いやりとなりますが、それでもなお、おもねることのできないこだわりが人を動かします。 この本はそんなことを教えてくれる一冊です。
本書の内容
Narrative01: 執念の説得で風穴を開けろ 国内唯一のアンティークモール誕生
町の骨董屋だった当時32歳の染谷。アンティークモール設立のために美術商たちに決死の説得を試み、ついに誕生するかに見えたが、そこで事件が起きた!オープン3日前に出展予定の目玉店舗が消滅。その時、染谷のとった行動とは!?
Narrative02: 小さな助産院、命をつないでいく 師は死を教え教育を残し
さいたま市で13年ぶりに開院した助産院。36歳で助産師資格を取得した岡田だったが助産院開業までの道のりは険しく、一筋縄ではいかない。岡田の思いに賛同者は現れるのか!? 「何を始めるにしても遅すぎることはない」ということを教えてくれるナラティブです。
Narrative03: 規制はアイデアで突き破れ 税金の無駄遣いと呼ばれたIT施設の逆襲
現在は約40万人の来場者を誇る施設となったが、過去には税金の無駄遣いとバッシングを受けた時代も。税金の無駄遣い施設から市民に愛される施設になるために館長・山口が考えた地域密着型の対策とは!?
Narrative04: 高品質・低価格の落とし穴 ブランド名刺が日韓の懸け橋に
韓国の印刷技術と低コストで日本の名刺業界に参入した宋。しかし、評判は高いものの売上は伸びない。社員の給料さえ払えなかった宋を救った起死回生の策とは?
Narrative05: 変化を恐れず「進化」こそ力なり 東海最大級、遅咲き接骨院は人生を診る
病院勤務が10年を超え、開院予定の土地も購入していた大榎。しかし、「患者に寄り添う」医療を目指し、予定を白紙にしてまでも求めた「ある技術」があった。その習得のため、単身神戸に向かった大榎がみたものとは!?
Narrative06: 鶏口となるも牛後となるなかれ DCS業界の革命児・どん底からの逆転劇
計測・制御器大手メーカーの花形技術者だった戸梶。大手であるがゆえ、小回りのきくサービス提供には思いが至らない。「それでは顧客ニーズに合っていない」と感じた戸梶は独立を決意。良いサービスを、安く、早くと決めた企業方針は、メーカーの牽制行為を誘発。苦境に立たされ戸梶を救ったのは!?
Narrative07: 心を救う独自の催眠療法 確立までの奇跡と脳科学
怪しいという印象が一般的な催眠療法を、いかにして「科学的」療法へと進化させたのか。テレビ番組への出演をきっかけにブレイクした井出が開発した画期的な手法とは?
Narrative08: 絶望を越えた土俵際の縁は偶然か 育薬ベンチャーの大いなる使命
大阪事業部でのCROプロジェクト中止がもとで会社存続の危機に。必要なのは資金は5,000万円。窮地を救ったのは、人と人との不思議な縁だった!
Narrative09: 母親に笑顔を取り戻せ 世界一お節介な保育園
自宅の6畳間で開いた幼児教室は、感情のまま叱る母親に、見方とやり方を変えれば子どもは変わっていくことを伝える「実践」の場でもあった。それが、子育ての悩みを話し合う「ママ講座」へと繋がっていく。
Narrative10: 眠れる龍、再び昇る 痛くない歯科医のやさしい治療
患者さん本位の治療を実現し、地区トップの歯科医院となった川崎。出身大学の花形ポストも歴任し、向かうとこと敵なしの状態だった川崎だが、ひょんなことから足元を救われる。栄光から転げ落ちた男の這い上がりのドラマが胸に迫る。
Narrative11: 縁は決断が紡ぐ 特許事務所のいい格好しい勲章
組織を大きくするのではなく、中規模にとどまることで、業界トップ1%に入るまでに育った特許事務所。その道のりは決断の連続だった。不安や葛藤で結論を先送りにしがちなビジネスパーソンに送る縁をつなぐ「決断」の秘訣とは!?